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■ 展示会の概要
正式名称は「台灣國際扣件展 Taiwan International Fastener Show」です。ねじに関連する企業が270社ほど出展していました。ドイツやアメリカでもねじ専門の展示会はありますが、それらは中国、台湾、インド、ヨーロッパなど様々な国の企業が出展しているのに対し、この展示会ではほとんどが台湾企業の出展ということが特徴かと思います。通常は2年に一度の開催ですがコロナ禍で2018年以来久々のリアル開催となりました。
開催場所は、高雄(Kaohsiung)という台北から新幹線で2時間ほどのところでした。台湾はねじの生産量が世界トップクラスですが、その中でも高雄市と隣の台南市で台湾全体の5割以上を生産しています。日本でいう東大阪のような感じかと思います。
開催場所は、高雄(Kaohsiung)という台北から新幹線で2時間ほどのところでした。台湾はねじの生産量が世界トップクラスですが、その中でも高雄市と隣の台南市で台湾全体の5割以上を生産しています。日本でいう東大阪のような感じかと思います。
■ 皆さまにご紹介したいアイテム
1. 冷間圧造品
驚いたポイントはアルミの冷間圧造で穴径約50ミリ、深さ100ミリほどの穴を貫通でなく袋形状にしていて一体モノで作っているというところです。また天部分に六角形状を作っており冷間圧造で何度打つのか?どんな金型で作るのか?非常に興味深かったです。
その他の冷間圧造品です。自動車の部品が主ということですが、このメーカーはある程度少量でも製造可能であることをウリにしていました。
2. 長ナット
これまた袋形状でかなり長い。自動車部品とのことです。
なぜか八角形!スパナの掛かりが悪くなるけど、ちょこちょこ回すにはいいのか?!
丸形状、袋形状、六角、異径の雌ねじなど多種多様な長ナットを作れます。
3.マイクロスクリュー(少量でも製造可能)
M1~M2.6のマイクロスクリューを少量2万個程度でも製造可能とのことです。2万って多いやん!と思われるかもしれませんが、1キロもいきません。もちろん作る量が少ないと単価は高くなると思いますが多量単品種が得意の台湾のイメージがありましたが変わってきたのかもしれません。
4.550系ステンレス ドリリングビス
強度は合金鋼のように強く、耐食性はSUS304よりも優れているステンレス鋼550系を用いたドリリングビスです。標準のドリリングビスにはSUS410が使われますが耐食性の問題があり、屋外で使うとどうしても錆びの問題が発生します。この夢のような材質550を使えば問題がなくなるかもしれません。
基本的に受注生産ですが200~300キロからでも作れるということですので、まずは試作をしてから進めていくこともできます。別の当社の協力工場でも同じものを作っていますが、材料は日本から輸入(日鉄製)とのことです。
参考資料:Detail
5.自動選別機
阪神ネジもタイ支社では中国や台湾から買ったねじについては自動選別機を
クリンチングファスナーメーカーですが、精密板金も作りクリンチングファスナーをアッセンブリーしてセミプロダクトを作るところまでやっていました。弊社でも最近アッセンブリーしたものをお客様に供給させていただくことが多くなってきています。
日本では、モノづくり業界の人財不足問題がかなり深刻ですので、こういったお客様のところでやっていたカシメや溶接の仕事をできるようにしておくということも非常に大事なことだと感じました
7.プラスチック、ゴム部品
プラスチックで作られたねじ、水漏れを防止するためのゴムワッシャーなど樹脂やゴム製品の供給は弊社でもかなりさせていただいております。少量でも製造可能とのことです。
8.CNCパーツ
弊社も台中、台南のメーカーさんにCNC加工品を製造してもらい毎月送ってもらっていますが、非常に沢山のメーカーがあり、それぞれ特長を出してやっておられます。医療機器やインプラント用の部品を基本としてい
るところ、自動車部品が中心のところ、少量多品種を得意としているところ、樹脂切削に強いところなど非常に多くのメーカーが競争し、切磋琢磨しています。
※展示品は秘密保持契約のため写真掲載不可とのことでしたので、同社ホームページから抜粋しています。
9.スタンピングパーツ、曲げ加工
プレス・板金のアイテムは元来ワッシャーを扱ってきた経緯から、弊社でも多く供給させていただいています。長穴で使える厚ワッシャー、クリンチングファスナーをカシメるためのプレス品などの特殊品、また丸鋼、板の曲げ加工などです。現在は、日本本社は日本のメーカーさん、タイの場合はタイのメーカーさんで製造し供給しています。台湾や中国で作る場合、相当な量を製造しないと価格メリットが出せないからです。
ただ、ナットを溶接しておく、Uボルトに板を挿入してナット止めしておく且つめっきの色をある程度統一しておきたいなど工程が多い場合はメリットが出せると思います。
10.ステンレスチェーン
ステンレス製のチェーンです。ブライト処理もかなり丁寧にしており色艶もかなり綺麗です。日本にもお納めしているとのことです。
11.実在庫数が把握できるスチール棚
まだ開発中とのことですが、棚のひと区画ずつに電子秤が埋め込まれていてねじや部品をその棚から入出庫するとリアルタイムで実在庫を重さで計測してくれるというものです。すべての棚に電子秤が埋め込まれていることを考えると価格は非常に高いと想定できますが、将来の確実な在庫数量を計測する装置の一つのアイデアとなるかもしれません。
12.建築用ファスナー
タッピングビス、軽天ビス、ドリリングビスなどの建築用のアイテムを展示しているところがこの展示会ではいつも本当に目立って多いです。バイヤーさんはアメリカ、ヨーロッパが多いと思いますが、そういったねじの需要が大きいのだと思います。
<感じたこと>
今回5年ぶりにこの展示会に参加させていただき沢山の台湾のメーカーさん、商社さんと話する機会を持つことができました。その中で一番感じたことは「変化」というキーワードです。ほぼすべての台湾メーカー、商社の皆さんがいうには現在非常に厳しい不況とのことです。原因はアメリカ、ヨーロッパ、中国からの注文が非常に少ないということですが、昨年、一昨年とコンテナ問題や海上運賃、材料代の高騰があり、エンドユーザーがいつもよりも多くの在庫発注をしたためその在庫がまだまだ倉庫に残っていて今年は発注するものがないということです。
そういう状況もあり、何かを変えなければならないという危機感があり新しい商品、新しい製造・販売方法、新しいマーケットへチャレンジしている感じがしました。
(1)多量から少量へ
台湾のねじは従来、安価で品質はそこそこ良いけれども最低ロットが非常に大きいという印象でした。見積もり依頼を出すと最低ロットは100万個ですと言われ見積もり不可と返ってくることがしばしばです。ただ、今回は少量でも作ります!ということをウリにしているところが結構多かったように思います。切削加工メーカーはもちろんですが、冷間圧造品、樹脂成型品、ドリルビス、マイクロスクリュー、プレス品など本来多量ロットを求めてきていたメーカーも少ロットでも製造しますということをアピールされていました。
(2)値段から付加価値の高い品物へ
以前は規格品を安く大量に作るという会社が多かったように思いますが、今回は「錆びない高強度ステンレスで作るドリルビス」「クリンチングファスナーをアセンブリした精密板金」「極少量でもマイクロスクリューを作る」「超高速自動選別機」など付加価値をウリにする商品が多かったように感じました。
(3)日本語を話す人が増えた?!
台湾は元々国内需要が少ないので作ったねじの殆どは海外へ輸出されていきます。その中でもアメリカ・ヨーロッパへの販売が7割を超えるので、展示ブースにいるほぼ全員が英語を話せます。今回驚いたのはそれに加えて日本語を話せる人が増えたように思います。
日本への輸出は全体の5.6%とそれほど多くないのですが多くの会社が日本語でカタログを作り、ブースにも日本語を話せる人がいました。聞くともっと戦略的に日本のマーケットに入りたいと考えている会社が結構沢山ありました。アメリカ・ヨーロッパ・中国が不況だからだと思いますが、この柔軟さには驚かされました。
(4)第二世代への世代交代
台湾の工業化の歴史からですが、台湾のメーカーは30~40年前に創業している会社が多く、今ちょうど創業者から二代目へ事業承継を行っているところが多いです。若く熱意のある2代目が新しい機械を入れたり、品質向上のために高性能な品質検査機を導入したり新しいチャレンジをしています。
ただ、現在台湾は半導体業界で働くことが花形な一方、製造業は若い台湾の方々に人気がなく実際にモノづくりしているのはフィリピンやタイ、ベトナムからのワーカーさんが多いというのも実情です。台湾のモノづくり業界もどうなっていくのかしっかりと見ておく必要があると感じました。
■まとめ
今回台湾に行き展示会を回り、商談会をさせていただく中で沢山のアイデアを創造することができました。部品だけでなく、アッセンブリー品を台湾で作り、検査会社で検査し日本やタイに送ったらどうか、付加価値のある特殊鋼の材料を使った商品を提案してみてはどうか、太陽光パネル用のファスナーをタイで提案してみたらどうか、少ロット対応できる切削加工メーカーと取引してみたらどうかなどなどです。もし、何かねじや部品等々でお困りのことがありましたらなんでもお声がけいただけたらありがたいです!
■おまけ
今回、友人のご厚意で私と(実は英語の修行で連れて行っていった)上の娘を宜蘭(イーラン)というところまで観光で連れて行ってくれました!
台湾の東海岸は初めてで来れたこと自体うれしかったです。台北と違い素朴な昔ながらの台湾の街並みで良い感じです。昼は現地で有名なのか分かりませんが、鶏を丸ごと坪の中で木炭を使って焼く有名な店で食べましたがめちゃくちゃ美味しかったです。
↑アイスクリームにアーモンドをまぶしてクレープでくるんだもの。食べる時にアーモンドの粉が気管に入って少しせき込みましたがめちゃくちゃ美味しかったです。
その後、友人の友達で道教のマスターがいらっしゃるのでその方を訪ねご祈祷していただき汚れた心を洗って頂きました(笑)
夜は羅東(ラートン)という町の夜市に皆で行きさんざん食べ歩きしたり、ゲームしたりしました。UFOキャッチャーで人形を取ろうと思いましたが、何回やっても取れませんでした!悔しい!
幼稚な作文みたいですいませんでした!
いつもそうですが、台湾に来るとなぜかホッとし、心が洗われます。今回もなぜ私たちにここまでしてくれるのだろうと思うくらい台湾の方々に良くして頂きました。何か恩返しできるよう頑張りたいと思います。
長文ご拝読いただきまして、ありがとうございました!