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当社は創業70年を超え、多種多様なねじ、メッキ、熱処理、機械加工・切削加工などを数多く取り扱っております。ねじ販売業者として、標準製品のみの限られた供給だけでなく規格外製品を求められているお客様への対応(カスタムメイドのパーツなど)も事業範囲のひとつとしております。
一体どんな製品が規格外か。
まず、規格外製品は、以下のようなふたつの大きなカテゴリーに分類します。
1. 治具や鋳造、鍛造、プレス部品などの工業製品
2. 規格外のファスナー部品
今回のブログではどのような製品が規格外なのかを書いていきたいと思います。
規格外ファスナー部品とは、JIS規格ファスナーや現在のメーカー規格に準拠していない製品のことです。
JIS規格に準拠していないというのはどういう意味か。
たとえば、
1. JIS B-1180(六角ボルト)M10×30に準拠:この製品の頭部幅=17mm、頭部高さ=7mm、ネジ長さ=26mmとなります。これらはこの製品の単なる外径です。
頭部高5mmの製品をご希望の場合、他メーカーでこの製品を取り扱っているメーカー規格があるかもしれませんが、現在の仕入先に在庫が無い場合は規格外品扱いとなります。
2. JIS B-1176(六角穴付きボルト) M10x50に準拠 : この製品の東部幅 = 16mm, 六角ソケットサイズ = 8mm, 頭部高 = 10mm, 長さ = 32mm. これらは製品の外径です。
ねじの長さ = 25mmの製品をご希望の場合、この製品は規格外品扱いとなります。
さらに理解を深めるために、実際のご要望のあった規格外製品について書いていきたいと思います。
あるお客様の場合 :黒染(四三酸化鉄被膜) 12.9 ソケットキャップスクリュー M6x50x12s = 2 本
M6x50 の標準製品のねじ長さは 24mm ですが、上記のご要望の12mm のねじ長さの場合は規格外となります。このようなケースの場合、少量、特注品(規格外)のため企業様によってはこのリクエストを拒否する場合があります。
我々の場合、できる限りご要望にお応えしたいので以下のようなプロセスで対応しております。
1. ブラックオキサイド(四三酸化鉄) 12.9 ソケット キャップ スクリュー M6x80 = 2 個を入手します。
2. 80mmから30mmに切り出します。すると、このキャップスクリューはねじ軸部(ねじ部のない部分)のみ50mm残ります。
3. 旋盤でシャンク部に12mmのねじ山を作ります。
4. 最終工程は再度黒色酸化(黒錆)メッキを施します。
なぜ再度メッキ処理をするのか!それは…
a.不要部分を切断してねじ山を作ると、メッキ部分が取れて鉄の生地表面が現れます。
黒色酸化(黒錆)メッキとしてお客様のメッキオプションが用意されているため、お客様は最小限の防錆が必要であると想定できます。
表面処理が剥がれている場合、他の部分は保護されたままですが、その部分が錆びる危険性があります。そのため、再度黒染(四三酸化鉄)皮膜の表面処理工程を行う必要があります。
5. これら工程を経て黒染(四三酸化鉄)12.9ソケットキャップスクリューM6x50x12sが完成します。
標準製品に手を加えるため多少の時間がかかりますが、お客様は必要なものを手に入れることができ満足度につながります。
必要量が少ない場合には機械加工が最適ですが、価格が高くなりがちです。
サンプル用として長期、大量に使用する予定がある場合には、原料から量産することも可能です。これにより、この製品のコスト競争力を高める規模の経済性が生まれます。
より詳しい切削、加工などの情報は前回のブログ「ファスナーねじの解剖学:ねじの切削と転造、その違いは何ですか?」をご覧ください。
今後の記事では、ファスナーについて読者がより深く理解できるよう、事例紹介を引き続き紹介していきます。
阪神ネジ株式会社
海外営業部
シリラート・ナタポン