どうやってミルシートをみる?

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    製造関係のお仕事をしている方なら「ミルシート」という言葉を耳にしたことが一度はあると思います。このブログでミルシートの見方、読み方のポイントを解説したいと思います。

まず本題に入る前に、身近な質問をひとつ。

「コーヒーを飲みますか?」



良質なコーヒー豆は消費者に届くまでの、さらには作られている環境や生産者に至るまで様々な情報を追跡することが可能なのはご存知ですか。

追跡可能なコーヒー豆は、袋やパッケージにQRコードやURLなどが記載されており、そこから原産国、生産者情報、焙煎のプロセス、豆の種類、味に至るまで様々な情報を知ることができます。

身近な食材や商品はこのように知りたい情報を知る方法がいくつかありますが、メタル産業はどうでしょうか。知りたい情報を知る方法はあるのか。

                                                                                      

    ミルシートはメタルの種類(例えばスチール、ステンレス、チタニウム、アルミニウムなど)を詳細に示してくれる文書です。鋼の場合、金属の種類ごとに、SWCH、S45C、または SCM435 などのグレードが定義されます。 ステンレス鋼の場合はXM-7、SUS304、SUS316L。 この文書は、記載されている通りに材料が標準要件に従っているか検証した検査証明書となります。

ミルシートは金属メーカーのみから発行されますが、第三者がミルシート発行プロセスに関与することもあります。

他国でのミルシートの呼び方は以下などがあります。

•    Mill Test Report (MTR)  認定ミルテストレポート(MTR)

•    Certified Mill Test Report 検査証明書

•    Certified Material Test Report 材料証明書

•    Mill Certification ミルテスト証明書

•    Mill Inspection Certificate ミルテスト検査証明書

この文書は素材の起源や特徴をたどるのに大変役立ちます。

金属の場合、ミルシートには次の情報の一部またはすべてが含まれています。

 拡大したい場合はこちら

※上記サンプルミルシートは参考のためのみ一部情報を消去・編集し掲載しております。


• 材料熱数/ロット番号/チャージ番号/など

o このセクションのその他の呼び方はメーカーによって異なる場合があります

材料熱番号は金属 ID カード番号のようなもので、生産プロセスで使用される原材料の特定のバッチを表します。

 

• 材質グレード/種類/記号等

各金属の材質カテゴリー/グレード/種類を表します。

「鋼」は材料の広範な呼称ですが、鋼の種類を特定するものではないため、ミルシートには記載されない場合があります。 鋼の場合は例としてSWCH10R、SS400、SPCC、SWRH62B、SCM435Hなどが表示しています。

 

• 製造年と仕様の種類

おもにJIS G4052(2016)などの材質グレードの次に表示されます。

この材料を製造するために従うべき規格を示します。この情報には、材料を製造するために必要な方法、検査、その他の情報が含まれます。

 

• 材料の寸法/サイズ/説明/直径

金属の製造に使用される材料のサイズを示す情報です。

ミルシートには、ロール線材、丸棒、平鋼などの素材の種類も表示している場合があります。

 

•性質

ねじに加工される前の材料の強さ、硬度、伸びなどの特性を表示しています。

 

• 化学分析/化学特性/化学組成

材料の化学的性質の内訳を表示しています。金属の種類に応じて、化学組成は異なる場合がありますが、この場合は各規格の要求範囲内に収まる必要があります JIS G4052 (2016)

 

• 熱処理 (該当する場合)

材質によっては硬度を上げる目的で熱処理工程が必要な場合があります。 硬度を上げる必要がある場合でも、ねじメーカーによっては、素材に加工・機械加工した後に熱処理工程を行う場合があります。 その場合は、情報はミルシートではなく、製品の検査データに書き込まれる可能性があります。

硬さの試験方法は材料の特性に応じて異なり、HRC、HBW、HVなどと表記されます。

 

• 会社名/住所/公認検査員の署名

このセクションは、この資料を作成した会社、その住所、およびこの報告書を作成し、文書の修正を保証した者の名前を指します。

おもに素材の原産国を確認したい場合にここで確認します。 ミルシート内の会社名と住所は材料の原産国を表します。

 

※参考利用のため、検査官の名前は消去および編集されています

 

    場合によっては、日本素材のみ、中国以外素材のみ、国内素材のみなど、特定の原産地を指定したねじをご希望されることがあります。

このような場合、材料を輸入して現地で生産してもよいか、材料の原産地と製造工程の両方を特定の国で行う必要があるかどうかを確認する必要があります。

    例えば、中国・台湾材(特にステンレス系)は業界内での価格競争力を高めています。 そのため、日本のメーカーの中にはこれらの国から材料を輸入してステンレス製ねじを製造しているところもあります。 この場合、ねじの品質に問題はないかもしれませんが、一部の顧客はまだこの問題を懸念しており、これは技術的、政治的、貿易的、または個人的な問題である可能性があります。顧客が何を必要としているかを知り、誤解や誤った情報を防ぐためにすべての要件をお客様に確認することをお勧めします。

※ミルシートが必要な場合は、ご注文前に必ずねじメーカーまたは販売店へお知らせください。ミルシートを取得するには商品のロット番号が必要となります。

製品納品後にミルシートリクエストが提出された場合、このねじがどの材料バッチから作られているかを追跡するのが困難な場合があります。

 
ミルシートの基本的な情報を読んで理解できるようになり、有益な情報が得られることを願っています。 ミルシートを使用したねじが必要な場合は、お気軽にお問い合わせください。

 

阪神ネジ株式会社
海外営業部
 シリラート・ナタポン